この記事を書いているのは1月なのですが、まあ日本の1月に外に出ると寒いじゃないですか(沖縄とかだと分からないけど…)。
でも「確かに寒いけど、昨日よりはマシ」ということもありますよね。
このとき、
- 「今、確かに寒い」というのが「絶対的」
- 「でも、昨日よりは温かい」というのが「相対的」
な感覚です。
最近「絶対的」「相対的」の違いについて尋ねられたので、特技・言語化を自称する(?)者として、少し追及してみました。
目次
絶対的・相対的…2つの言葉の意味をもう少し詳しく解説!
ここからは辞書の文言も使って、「絶対的」「相対的」という言葉の意味をもう少し正確に深堀りしていきます。
絶対的とは「他の何物ともくらべようもない状態・存在」
デジタル大辞泉によると、絶対的とは「他の何物ともくらべようもない状態・存在であるさま」のこと。
と言うとなんだか仰々しくて分かりにくいのですが、冒頭の「寒さ」の例で言うと、「わたしが今寒いと感じたら寒いんじゃい!」というのが「絶対的」な感覚です。
何かを評価・判断する基準が、固定化されていると考えても良さそうですね。
用例を挙げて説明すると、「絶対的な信頼」とは他の何にも揺るがされない(=他人などの考えに左右されないような)信頼のこと。
「絶対的有利」と言えば、どの視点から見ても間違いなく有利・上位に立っている状態を指します。
北海道民が「こんなの大したことないよ(笑)」と言ってきたところでわたしが寒いと感じたら寒いわけですからね。
これが「絶対的な」感覚です!
その他、何にも揺るがされないような強大な存在を「絶対的存在」と言うこともあります。
が、こちらは比喩的なニュアンスを持つことが多いかもしれません。
相対的とは「他との比較の上に成り立つさま」
相対的とはデジタル大辞泉によると、「他との関係において成り立つさま。また、他との比較の上に成り立つさま」。
寒さの例で言うと、「まあ寒いっちゃ寒いけど昨日に比べたら温かい」というのが「相対的」な感覚です。
その他、「相対的にマシ」と言えば「誰が見ても(≒絶対的に)優れているわけではないけど、他の選択肢と比べたらまあマシ」というニュアンス。
このように「相対的」という概念は、他に何かしらの比較対象が存在します。
・熱いコーヒー(絶対的)で火傷した
・とは言えマグマよりはぬるい(相対的)
みたいな……どういう例えだ
「絶対」「相対」が付く言葉(熟語)の用例
ここからは「絶対」「相対」が付く対義語の例について、それぞれ解説していきます。
ちょっと複雑かも!なので読み流すかんじでもOKです!
絶対評価・相対評価
絶対評価とは、「評価する人」が絶対的な基準となって下される評価のこと。
例えば30人の教室で、先生が「5段階中5の評価を充てるに相応しい」と思った人が1人だろうが10人だろうが「5」の評価を充てられるのが「絶対評価」です。
先生(評価する人)が5と思えば5、4と思えば4、ということですね。
これに対し相対評価は、「比較対象(ここではクラスメイト)と比べてどのくらいの立ち位置か」が最重視されます。
例えば「5の評価がもらえるのは上位10%まで」と決まっているのなら、30人のクラスで5の評価が貰えるのは、先生の気持ちにかかわらず3人までです。
標準を50として自分の立ち位置を示す「偏差値」の考え方も、相対評価によるものですね。
絶対評価・相対評価のどちらが良いかはケースバイケース。
・絶対評価は「誰が評価者となるか」
・相対評価は「他のクラスメイト等がどのくらい優秀か」
によって、与えられる評価が変動します。
絶対音感・相対音感
絶対音感…というと世間では「グラス等の音を適当に鳴らすと、どの音か判別できる」能力を指しますよね。
ですが実際のところ、音名ごとに与えられた周波数というのは時代や地域によっても変わります。
そのため一般には、「現在主流の周波数(A=442Hz)を絶対の基準とした音階を、楽器の音やそれ以外の音に適用し、音名を判断できる能力」を指すようです。
広義で言うと、「グラスを叩いた音が分からなくても、ピアノやギターで適当に弾いた音が分かれば絶対音感持ち」です。
これくらいなら該当する方は多いですよね。
こんな面倒な前置きを置いたのは、「絶対音感の人がラと呼ぶ音をドと呼んで、そのまま歌い続けられる」ような人が存在するため。
「音の基準」をズラし、「音と音の間隔」を基準に音名を充てられる能力のことは、「絶対的な基準がなく他の音との感覚を基準とするために「相対音感」と呼ばれます。
本当の、自由自在な「相対音感」を持っている人は、絶対音感持ちよりも断然レアだったりします。移調楽器や古楽器をやっている方には多いのかな?
なぜそんなことを知っているかというと、実は音楽大学出身なので…
「絶対的」「相対的」の意味や違いのまとめ
- 「絶対的」とは、「他に比べられることなく」あるいは「確固たる1つの基準のもとに」判断されること。
例1:私は寒い。(他の人がどう思うかに関係なく、今寒いんじゃい)
例2:国語のテストは85点だった。 - 「相対的」とは、「他の何かと比べた」評価される状態のこと。
例1:昨日よりは温かい。
例2:国語のテストの結果は前回より良かった/クラスで5番目に良かった。
というわけで、できる限りゆるめに「絶対的」「相対的」を解説してみました。
どちらが良い・悪いということはない…というより「<相対的に>どちらがベターか」は状況によって異なるため、場面場面に応じて考え方を切り替えたり、比べたりしたいところです。
「相対的に見たらカスな結果でも、自分的には(=自分という絶対的な基準においては)OKです!」ということもありますからね。